老化時計の針を戻すビタミン類似物質「N M N」 ニコチンアミド モノヌクレオチド

「人間でいえば60歳にあたる生後22ヶ月のマウスに、NMNを投与しました。すると、細胞の機能が1週間後には生後6か月のマウスに相当する状態にまで活活性していたのです。これは人間でいえば20歳に当たります。つまり、たった1週間で40歳も若返ったのです!

NMNにはまだ否定的な面は発見されていません。それどころか、からだの様々な臓器や組織を守る作用があることがわかっています。

また、肝臓がんのマウスにNMN を投与したところ、がんが消えたこともありました。 老化を制御する物質として脚光を浴びており、現在世界中で研究・開発が進められています。」

NMN研究の第一人者 ハーバード大学医学部
デビッド・シンクレア教授

ハーバード大学のデビッド・シンクレア教授の著書「老いなき世界」の中で、ビタミン 類似物質であるNMN(ニコチンアミド モノヌクレオチド)は、体内で変換されるNAD(ニコチンアミド アデニン ジヌクレオチド)を介して長寿遺伝子のサーチュインを活性化するとともに、ミトコンドリア機能を高めてエネルギーの産生量を増やすことから、老化を制御し、身体諸機能を元気にします。

NMNは母乳(初乳)や野菜、果物(枝豆、ブロッコリー、きゅうり、トマト、アボカドなど)に含まれていますが、その含有量は微量なため食品からは十分量を摂取できません。

NADの体内量は加齢とともに減少し、中年期には若いころの半分にまで低下してしまうため、NMNの補充により健康で若々しいからだを維持することが期待されています。

NMNは細胞内でNAD+を増やすことで、抗老化効果を誘導します。

  • 【NAD+について】
  • 人間を含めた哺乳類をはじめ、植物、細菌等の生体細胞
  • に含まれている補酵素
  • 1906年に酵母の発酵を促進する因子として発見
    ヒトの細胞の500以上の化学反応に関与している
    NAD+は10代後半をピークに加齢と共に減少する。
  • NAD+は、様々な酸化還元反応を媒介する補酵素。
  • 代謝のキープレヤーとして、 TCA回路(クエン酸回路)
  • などエネルギー生産経路において重要
  • DNAの修復や老化防止等、重要な役割を担っていることが、明らかになってきている→不足すると老化の進行だけではなく、糖尿病などの生活習慣病の原因になる
  • 「長寿遺伝子」や「遺伝子の守護神」と呼ばれるサーチュインや損傷したDNAを修復する酵素であるPARPは、NAD+に依存する

NAD+の低下と関連する疾患

  • 認知機能障害
  • 神経変性疾患
  • 肥満
  • メタボリックシンドローム
  • 2型糖尿病
  • 脂質異常症
  • 動脈硬化
  • 心疾患、腎臓機能低下
  • 脂肪肝、肝機能障害
  • 感染症
  • 慢性疲労
  • 不妊
  • 自閉スペクトラム症
  • 筋萎縮症
  • 老化の促進

NMNの効果が期待できる可能性のある疾患・病態

●老化(エイジングケア):長寿遺伝子の働きを改善
●神経疾患:神経疾患の特徴である機能障害を回復
●糖尿病:減少したNAD+を回復させ、糖代謝を高め血糖値の異常を改善老眼、視力低下:眼の老化に対し有効性があることが確認されている
●難聴:Sirt3の活性化による聴力の改善
●アルツハイマー病:β‒アミロイド産生、アミロイド斑負荷、シナプス喪失等を効果的に減少させる
●脳内出血・脳梗塞:老化による血管不全の解消や抗酸化に影響を及ぼす
●肥満とその合併症:ミトコンドリアが活性されることにより、筋肉(筋肉細胞の再生)や肝臓の機能を改善する→脂肪肝や肥満の解消
●心機能改善
●卵巣機能の改善:不妊症への効果、Sirt2の活性化機序による卵子の質改善
●睡眠の改善
●虚血再灌流障害:Sirt1を活性化することで、虚血再灌流時の障害から心臓を保護し、臓器移植の応用への期待
(論文で報告されているもの、動物実験を含む)

【NMN点滴療法について】

  • (背景;NMNは細胞内のミトコンドリアでNAD+を合成しエネルギーを作り出します。ミトコンドリアは若さの源ですし、弱ってしまうと細胞の癌化とも関係します。NAMPTはNamからNMNを合成するための酵素ですが、NAMPTは年齢とともに低下するため、合成産物のNMNやNAD+を補充することでエネルギー産生させ、結果若返ると考えられています)

    点滴は細胞に届けるという意味では最強の投与方法に思われますが、NMNは細胞膜を通過できない構造のようです。ですので細胞膜を通過する際に、一度NRもしくはNamという物質に分解されて通過、細胞内で再度NMNになってNAD+を合成するという経路が報告されています。NMNひとつは最終細胞内でNMNひとつになると思われるかもしれませんが、細胞膜を通過する際のひと作業でロスしますし、Namに分解された場合にはNAMPTが減っている高齢の方ではNMNに十分再合成できない可能性もあります。一方NRはそのままの形で細胞膜を通過するため、ひと手間少なくNMNになれる点が有利ですし、NRからNMNに合成する経路にはNAMPTを介しませんので、結論NR点滴最強説(個人的な感想です)を現時点で私は信じています。(未だ解明されていない他のNMNの作用機序での効果もあるとおもいますので、あくまで現時点)

    ●生理食塩水100mlに100mg~300mgを溶解して、15~40分程度で点滴投与、点滴専用試薬を使用
    ●月に1~2回を目安に投与
    ●計5回ぐらいを目安に継続することにより、効果を実感しやすい
    ●オゾン療法、高濃度ビタミンC点滴、水素点滴などとの併用可能→水素にはNMNの効果を高める作用があるとされている
    ●副作用はほとんどなし:軽い血管痛を感じることがある

【点滴で投与することのメリット】

  • 副作用はほとんどなし:軽い血管痛を感じることがある【点滴で投与することのメリット】
  • 経口投与の場合には、腸管からの吸収状態や肝臓を経由してから、全身に回るため、高用量の投与を必要とする
  • 点滴投与の場合には、直接必要な部位、臓器に到達するため、低容量で、効果を早く実感しやすい